メンテナンスはいつも一人。
建てつけを直したり、木の表面を削ったり、オイルを塗ったり。
孤独と思われがちな作業だが、一つ一つにこだわって手を尽くすことに、実は幸せを感じている。
こだわりは強い方だと思う。
メンテナンスのことが少しわかってきた頃は、ほとんど妥協をしなくなった。
だから、作業に専門的な技術が必要になると、時としてその筋の職人と意見が対立する。
【こだわる店主 vs プライド高き職人】という感じ。火花が見える。
要求が多いので、面倒くさいと思うのもわかる。
この関係が【こだわる店主 with プライド高き職人】へ変化すると、
仕事の質や効率は飛躍的に向上する。
妥協とは違う。
同じ価値観を持てる人…つまり仕事に対するモチベーションが同じか、それ以上に高められる人じゃないとこの関係は作れない。
去年、この条件を満たす職人さんに出会った。
高い技術で要求を期待以上に叶えてくれ、
わからないことがあったらちゃんと相談してくれる。
時には一緒に考えてくれて、
選択肢を提示してくれる。
歩幅を合わせてくれる安定感と、仕事を確実にこなしてくれる期待感が相まって、一つ仕事が終わるたびに信頼関係の深まりを感じる。
もちろん日常の会話からも教わることが多い。
店に立つのは一人。
でも、裏ではこうやっていろんな人の手に支えられている。出会い一つ一つは偶然だけれど、その中から大切な存在を見出し強く結ばれることは必然。
こんな風にわかりあえる人との出会いが先にも待っているなら…この少々やっかいな性格も悪くないなと思う。